本当に帝王切開じゃなきゃ、ダメだった?
今年、第3子を帝王切開で産んだ。
1人目、2人目は通常分娩で。
第3子は余裕の出産のつもりだったし、
バースプランも考えてあった。
まだ脈うつ臍の緒にさわってみたかった。
助産院での自然分娩に憧れて、
実家近くの産院を選択。
順調に経過していたが・・
妊娠後期に入って、
ノンストレステストをし始めた頃、
「赤ちゃんの元気がない」
と言われる。
寝てるかな?
ということで、もう1サイクル待ってみたり、
お腹の上から動かして、起こしてみたりするけど、
あんまり動かない。
心拍は普通。
39週に入っての健診で、
エコーでは、子も元気で胎盤も異常なし、
だったけど、ノンストレステストで、やはり元気がない。
そして、一度お腹の張りが来たときに、瞬間的に心拍が下がったため、
帝王切開と決められる。
「これ、まずいです!」
スーパーバイザー的にかかっている総合病院の、
担当女医にそう言われる。
その言い方、ないんじゃない?
不安になるじゃん。
まずい?
十分な説明もなく、
緊急入院、手術と決められる。
瞬間的に心拍が下がっただけなのに?
元気がない・・
確かに、大きな波は見られなかったけど、
動くときは動くんだけどな。
このまま下から産んだら、どんな状態で産まれるかわからないから。
そんなことも言われる。
素人だし、母としては、もう従うしかない。
折り悪しく、上の子がインフルエンザにかかっていて、
私の診察中、父親が子と車で待ってくれていた。
「緊急入院になった」
と伝え、帰ってもらう。
涙が出そうで、帝王切開かもとは言えず。
情けないけど。
夫に連絡するが、すぐには駆けつけられない。
誰も居ない中、すぐに手術で不安でたまらない。
部屋に移動し、術着に着替え、看護師にトイレはないかと訊かれ、
行きたいと伝えたが、
時間がないし、カテーテル入れるので我慢しろと言われる。
・・なら最初から尋ねるなよ。
ストレッチャー?で手術室へガラゴロ。
レントゲン撮られる。
下半身だけの麻酔。
体を丸くしてと言われ、その通りにして。
よくわからないけど、背中にブスー。
痛みはそんなに感じないが、冷たい液体の感触が気持ち悪い。
腹から下に目隠しつけられ、
手術始まる。
下の毛刈りがイマイチだったらしく、
もっときれいにしとけよ、と上位の医師(男)が言う。
なんとも言えません。
○○さんの緊急帝王切開術、始めます。
女医の宣言で始まる。
あらかじめマーカーでつけられていた切開ラインの通り、
電メスで切られる。
皮膚の焦げる匂いと、煙が生々しい。
気づけば、無影灯の金属部分に、うっすらと切開部がうつっている。
することもないので、その様子を見る。
そして、耳をすませる。
切開部はクリップみたいなので固定し、
さくさく切りすすめられ、赤ちゃんはすぐ出される。
お腹押しますと言われ、確かに少し押された。
「赤ちゃん出ます」
そのときやってた、コウノトリみたいな一場面。
ぐげげ、みたいなうぶ声をあげ、
白くふやけた我が子はだらーんと片手を伸ばして、視界に入ってきた。
よかったですね、と顔の横まで連れてきてもらい、
左手に少し抱くような格好。
それでしばらくお別れ。
酸素濃度が安定するまでNICU行きだそうで。
その頃、夫が到着したようで、生まれたての我が子を抱くことができたらしい。
抱っこしたかった。
あの、生暖かい感触、胸に感じたかった。
だけど、自分のことでいっぱいで、それどころじゃない。
切ったとこ、どうなるの!!
赤ちゃんが無事に出てきたことで、和やかムードになる手術室。
上位の男性医師は、退室し、
担当女医と、縫い合わせ担当の下っ端医師は、
世間話しだす。
やっぱり、縫合は時間がかかる。
溜まっている血液と羊水をジョジョと吸い取りつつ、
ちくりちくり・・
これに1時間弱かかったんじゃないかな。
担当女医、ふくよかな体型のため、
疲れたのか、囲いカーテンの上に、手を置く。
血まみれ。
私の血。
世間話もノリノリ。
分かってると思うけど、聞こえてますから。
人差し指につけられた、センサーが邪魔で。
とりたくて。
ピッピッポ、とたぶん生体反応をチェックしてるマシーンの音が、
異様で気になって。
最後に、残置物がないか、レントゲン。
また?
電気毛布かなんかの電源コードが写っていたと、
担当女医が文句。
知らんがな。
そんな、3人目。
無事に生まれてくれたことが一番だったけど、
この病院は本当に対応が悪くて。
看護師はいい人が多かったので、それは救いだけど。
この子が「生まれたい」というタイミングで産むこと、
待てなかったのか、
本当に「まず」かったのか・・
誤解を恐れずに言うなら。
自力で生まれられないなんて、
この先生きて行かれるのか。
未だに消化できずにいる。